「東京五輪、観戦拡大だけは防止しましたね」「バッハ会長、ありがとうございます。僕より空気を読めない人が現れて助かりました」
放送プロデューサーのデーブ・スペクターさんは、東京五輪について、ツイッターでユーモアと皮肉を交えて投稿を続けてきました。
スポーツを純粋に楽しみたい気持ちはあるのに、招致決定以来、様々なトラブルが続き、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない。「割り切れない複雑さ」を抱えたまま、迎えた五輪について、語ってもらいました。
「約束破り」の五輪
――いよいよコロナ下の東京五輪が始まります
新型コロナウイルスに打ち勝ったと言えるようなシンボリックな大会になれば良かったですが、今はそういう空気も雰囲気もありません。むしろ、まだコロナに苦しんでいる状況があります。
今回の大会は約束したことが何も実現していない、いわば「約束破り」の五輪です。「復興五輪」と被災地をだしにしたのに、何の貢献もできていない。外国からお客さんは来なくなり、「おもてなし」どころではない。大会経費は当初より膨らみ、「コンパクト五輪」でもなくなった。
こんなカオスな五輪はない。みんな白けきっています。
――東京五輪では、これまでに様々なトラブルが相次いでいます
最近も小山田圭吾さんの過去のいじめ発言を巡る問題がありました。振り返ってみれば、2013年の招致決定からトラブル続きです。
国立競技場や大会エンブレムは、いったん決まった計画が白紙撤回された。組織委の森喜朗氏は女性蔑視発言で会長職を去り、五輪・パラの開閉会式の演出を統括していた男性はタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するようなメッセージを送ったとして、辞任しました。みんなもうトラブルを楽しみにしているくらいじゃありませんか?
一方で、コロナで亡くなった人は世界中にたくさんいます。経営不振でつぶれてしまった飲食店なども多い。そんな状況で「平和の祭典」や「団結」といった五輪のメッセージはむなしく聞こえてしまいます。
インタビュー後半では、日本でのワクチン接種の遅れなどについても語ってくれました。デーブさんらしいオチもあります。
外国から来た人がむしろ日本人との接触を恐れている
――選手や関係者と一般の人を分ける「バブル方式」も順調ではありません
米国のスポーツ大会でも、よ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル