兵庫県丹波篠山市で5月、死産した男児の遺体を遺棄したとして、死体遺棄の罪に問われたベトナム国籍の元技能実習生、チャン・トゥ・フォン被告(22)の判決公判が13日、神戸地裁であった。金川誠裁判官は、懲役1年6カ月執行猶予4年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。
判決によると、技能実習生だった被告は5月18日、市内にある社員寮の共同トイレで、死産した男児の遺体をそのまま下水道に流して遺棄した。
初公判で起訴内容を認めた被告。検察側の冒頭陳述によると、昨年10月に入国し、市内の工場で働いていた。今年5月、市販の検査薬で妊娠を確認。当時は出産を望んでいたという。
被告人質問で被告は、事件に至った経緯について、SNSで「技能実習生が妊娠したら帰国させられる」という情報を目にした、と説明した。
「確かな情報はあったのか」との弁護人の質問には「インターネットでしか見ていない」と答えた。日本で働くため100万円ほどの借金をしていて「母親を失望させたくなかった」。
誰にも相談することなくSNS経由で中絶薬を手に入れ、5月15日ごろに服用。18日に死産し、男児を遺棄した。検察の質問に対し、当時のことを「正直、どうすればいいのかわからなかった。考える余裕がなかった」と述べた。
金川裁判官は「(服用した中絶薬の)効果をしばらく感じなかったことで、改めて産もうと考え始めた矢先に死産し、犯行に及ぶこととなった」と指摘。一方、「死産した子を弔う言葉を述べて反省していることなど、くむべき事情が認められる」とも述べた。(杉山あかり)
監理団体「ずっと悩んでいます」
妊娠や出産を理由にした解雇は男女雇用機会均等法で禁止されていて、技能実習生も対象だ。強制的に帰国させられることもない。
実習を中断して産休などを取得した場合も、仕事に復帰し、残りの実習期間分働くことができる。
だが実習生が孤立出産の末…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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