JR北海道の石勝線特急脱線炎上事故から27日で10年となる。事故をきっかけに、JR北では効率重視で安全をおろそかにした弊害が噴出。その後安全最優先を掲げ、経営を一歩一歩改善してきた。国や道の支援も受け、2030年度の北海道新幹線札幌延伸後の経営自立を目指すが、今は新型コロナウイルスによる旅客減が立ちはだかっている。
石勝線事故は、車両の車輪の劣化がそもそもの原因だった。JR北ではこの事故後、13年に函館線大沼駅での貨物列車脱線事故、レール検査データ改ざんなど重大事故や不祥事が相次ぎ、その信頼は大きく揺らいだ。
JR北は国からの度重なる命令を受け、経営陣の一新、社員教育の徹底など「会社の膿(うみ)を出し切るための改革」(同社幹部)に着手。年300億円台の修繕費と200億~300億円台の安全投資を予算に計上してきた。
だが現在、コロナ禍がその経営を直撃している。4月末に発表した21年3月期の営業赤字は過去最悪の805億円。不採算路線の見直しやいっそうのコスト削減が避けられない。JR北の島田修社長は石勝線事故を振り返り、「経営は厳しい状況にあるが、二度と同じ過ちを繰り返さないためにも安全最優先の方針は変えない。安全重視の企業風土づくりに取り組んでいく」と話す。(斎藤徹)
あのとき、車内で何が起きたのか
喜多龍一道議(十勝地域選出)は、10年前の石勝線事故に偶然居合わせた。あの時、車内で何が起こっていたのか、改めて振り返ってもらった。
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10年前の2011年5月27日午後9時過ぎ、後援会会合後、新得駅から釧路発札幌行き「おおぞら14号」に乗った。席は最後尾1号車右側の真ん中付近。座席の多くは埋まっていた。
40分ほど経った時、「ガガ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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