「報道部畑中デスクの独り言」(第145回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、報道で優先するべきニュースの判断の難しさについて—
私どもが日々お伝えしているニュースは、様々な形式があります。いちばん多いのは「ストレートニュース」と呼ばれる、起きたことを文字通り「ストレート=率直」に伝えるもの。そのほか特集などの「企画ニュース」、こぼれ話的な「トピックス」などがあります。
そして、ストレートニュースのなかでも、放送する時間、掲載する日時によっていくつかの要素があります。
1つは、ニュースに対する価値です。つまり「誰もが知りたい、関心の高いニュース」と、「伝えるべき重要なニュース」……これが一致すれば最も価値あるニュースになるのですが、必ずしもそうならないこともあります。
また、時系列的に見ても、いくつかの考え方があります。「この1日、何があったのか」「前号からこれまでに何があったのか」「いま何が起きているのか」…これに最近は「これから何が起きるのか」という要素も入って来ます。
新聞はご存知のように、朝刊と夕刊の1日2回の発行です(最近は朝刊のみの新聞もありますが)。基本は「前号からこれまでの間に何があったのか」……それをニュースバリューの順に伝えて行きます。
これに対し、ラジオやテレビの電波媒体は少し複雑です。テレビ(ネットワークニュース)は朝・昼・夕方・深夜の最終版の計4つの枠が基本にあり、その間にスポットニュースの枠が入ります。最近はNHKだけでなく、地上波民放でも日中のスポットニュースが増えて来ました。
朝は「前号(昨夜の最終版)からこれまでに何があったのか」、深夜は「この1日、何があったのか」という性格が強いですが、昼・夕方は世の中が動いている時間であるだけに、「いま何が起きているのか」という即時性が強まります。
最近は中継技術の目覚ましい進歩で、時差のある海外のニュースさえ瞬時にして届く時代です。朝や深夜でも「いま何が起きているのか」という即時性が求められる頻度が高くなっているのは否めません。さらに同じテレビでも、30分ごとに内容を更新するCSチャンネルのニュースや、見たい時間を任意に視聴者が決められるインターネット媒体も出現し、ますます複雑化しています。
ラジオはどうか……日中はほぼ1時間に1度の割合でニュースをお伝えしていますので、より即時性が重視されることになります。音声だけという機動力の良さもその特性を後押ししています。
ただ、電波媒体の難しいところは、同じ人がずっと見たり聴いたりしているとは限らないということです。例えば番組が次の番組に切り替わった場合、次の番組から聴き始める人もいます。そういう方々のためには「最新のニュース」より、「最新ではないが、これまでの大きなニュース」の方が、より価値が高いのではないか…そうしたことも考慮の上で、ニュースの構成をすることになります。
なぜこのような話をするのかと言えば、久しぶりにこれはどう扱ったらいいのか……しばし悩んだニュースに遭遇したからです。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース