ネオン街に響く「NO WAR」 バンドマンに宿るスナオさんの心

 広島市にある西日本有数の繁華街・流川。夜になると、飲食店のネオンが光り、酔客が行き交う。

 4月上旬の土曜日。まちの外れにあるライブハウスは熱気に包まれていた。3組のバンドが、ある目的のために集まった。

 30平方メートルほどの狭いホールで、照明が赤、青、緑と数秒ごとに切り替わる。体に振動を与えるほどの爆音が、地鳴りのように響く。

 3人組のハードコアパンクバンド「AXE HELVETE」(アックス・ヘルベート)の演奏が始まった。

 胸まで伸びた金髪に黒い革ジャンを着たヤマザキ(49)がギターをかき鳴らす。約20人の客は、グラスを片手に体を揺らしている。頭を前後に激しく振るヘッドバンギングを繰り返す客もいる。

 12分後。ヤマザキはギターを置き、語り出した。

 「ロシアによる戦争を今すぐやめてほしい。広島と長崎は武力で被害を受けた。核共有とか言ってる政治家もいるけど、外国人なら殺していいの? 日本人だけ助かればいいとか、まじありえねえ」

 ボーカル兼ギターのマサキ(37)も続く。

 「何か難しいことわかんねーっすけど、戦争ってこんな感じでいきなり始まっちまうんだって……。戦争はいらねえ、核なんかぜってぇいらねえ。NO WAR!」

 反戦――。それが、ライブのテーマだ。

 主催したのは、広島市中区で約30年間レコード店を営んできた大小田(おおこだ)伸二さん(56)。自身もパンクバンドでボーカルを務め、GUY(ガイ)という芸名で活動する。

 大小田さんが反戦をテーマにライブを開いた理由は、ある被爆者との12年にわたる交流があった。

 坪井直(すなお)さん。国内外で核廃絶を訴え、「ヒロシマの顔」と呼ばれた。

不良仲間と夜遊びを繰り返し、高校を中退した大小田さん。40代で出会った被爆者の言葉から、あることに気づかされます。ライブの終盤、大小田さんはウクライナとロシア、ヒロシマをつなぐ驚きのゲストを用意していました。

 大小田さんは広島市で生まれ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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