人間、いつ何が起こるか分からない。もうけ話に乗って大コケしたり、思わぬところで人生の幕切れとなったり。なさそうでありそうな話を、噺家(はなしか)は笑いに昇華する。
「自分の周りには、落語のお手本みたいな人間がおってくれたから」
そう話す桂雀々が、3月26、27日、芸歴45周年の独演会を新歌舞伎座(大阪市天王寺区)で開く。公演の模様は、31日午後8時からWOWOWで放送される。
演目の一つ「鷺(さぎ)とり」は、男が鷺を捕まえてからの顚末(てんまつ)がぶっ飛んでいる。
欲をかいてたくさん捕まえすぎて、あらららら。一斉に飛び立った鷺たちに引っ張られ、びゅーんと空へ。なんとか四天王寺の五重塔につかまるが、結局飛び降りる羽目に。宝船に乗ったつもりが泥舟だったというわけ。
父はピラニアに
「うちのおやじも、そういう一獲千金狙うタイプでした」
雀々の父は道楽人だった。空は飛んでいないが、借金からは飛んだ。
原因は丁半博打(ばくち)に競馬に競艇といろいろだが、一番はピラニア。売りさばいてもうけようと家の水槽で育てていたが、あえなく全滅、自暴自棄になった。
父は雀々との心中騒ぎを起こ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル