ネットが人々を過激化させる? 社会を分断する要因は…(TOKYO MX)

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。4月7日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の倉持麟太郎さんが“ネットによる社会の分断”について述べました。

◆インターネットは社会を分断してしまうのか

3月30日、政府が4月1日に緊急事態宣言を出すという憶測がインターネット上で拡散。安倍首相は「こうしたデマやフェイクニュースに気をつけなければならない」と否定し、情報との向き合い方が問われています。

田中辰雄さん、浜屋敏さんによる共書「ネットは社会を分断しない」は、10万人規模の調査をもとに“ネットは社会を分断するのか”について記されており、今回倉持さんはそこから一部抜粋して紹介。

1つ目は、「ネットは特有の分断、過激化してしまう構造がある」こと。まず、「受け手」はアルゴリズムなどにより知らない間に自分の好きな価値観・情報に囲まれ、「価値観がたこつぼ化してしまう」と指摘。一方、「送り手」はメディア数が増え、“パーソナルメディア化”が叫ばれる中、「どんどん過激化しないと響かなくなっている」と言います。

そんな両者の関係により「構造として過激化してしまう」と倉持さん。例えば政治的なテーマのアンケートでは、「強く賛成」や「強く反対」といった極端な意見を言う人が「Facebookを毎日利用している人」は25%。「していない人」は20%で、ネットに触れている人のほうが極端な意見を言いやすいという結果が出ているそう。

2つ目に「過激化しているのは誰か」というと、過激化傾向を捉えた数値は70代の高齢者層のほうが20代より高いとか。

そして、倉持さんはこの2つには「矛盾がある」と言います。それは、ネットとの接触率が高い若年層よりも中高年層のほうが過激化しているから。「要は、特定の政治的意見を持っている人がネットに触れたから過激化しているだけで、因果関係が逆。ネットに触れて過激化したのではなく、過激な人がネットによって表出した」と主張。

これは「クロス接触率」と言うもので、「自分と全く反対の立場にどのくらい触れているか調査したとき、ネット利用者は40%程度が触れている。逆にテレビや新聞など旧メディアの人たちは自分の考えと同じメディアだけ100%見ている人が3割もいる」と倉持さん。また、ネットは好きなだけ見られることもあり、総じて「ネットで社会は分断しないんじゃないか」と唱えます。

しかし、世間ではネット上での理性的な対話は困難だと思っている人が多いそうで、例えば「ネットで実りのある議論をするのは難しい」、「ネットで議論する人に不寛容な人が多い」という意見が多数。そして、倉持さんが面白いと指摘したのは、4割の人が「ネットは自由にモノが言えるところ」と回答しているにも関わらず、「ネットで自由にモノを言えていない」人が54%もいること。

また、この調査で興味深かった点が、政治的な話題の書き込みの50%が0.23%の人々の書き込みで成り立っているということ。「つまり、強い意見を持っている人の意見が過剰に代表されている」と倉持さんは言い、「中間層の人たちが萎縮し、過小代表が反映されていない」と危惧。

こういった状況は今も起きており、新型コロナウイルス関連のニュースも「そこで議論されていることは本当に多数派の意見なのか。少数の過激な意見が広くシェアされているんじゃないかということを、気をつけましょう」と呼びかけていました。



Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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