武田遼
東京都新宿区で2020年6月、コロナ禍によるインターネットカフェへの休業要請で行き場を失った人が都の支援策で利用していたホテルを滞在期限の前に退去させられた問題で、吉住健一区長は21日、退去させた区のトップとしての責任をとるため、自身の退職金から約300万円を減額すると明らかにした。
宿泊料として区から利用者への補塡(ほてん)額と同等という。関連する専決処分を同日付で行った。
区は同年5月下旬、ホテルの利用者に6月1日朝の退出などを求める文書を配り、実際に98人を退出させた。その文書配布の1週間前、都が制度の利用期限を延長し、利用者は引き続き滞在できたはずだった。宿泊期限は最終的に、6月14日まで延長された。
区によると、退去させられた利用者のうち、区が補塡の支給対象としたのはこれまでに80人。本来宿泊できた日数分の宿泊料を1泊あたり3500円で計算し、総額295万7500円とした。80人のうち5人は現在も連絡がつかないといい、将来の支払い分として24万5千円を含んだ。
吉住区長は記者会見で、「責任の所在を明らかにし、謝罪したい」と述べた。区長の退職金2029万4280円から支出分に相当する区が決めた減額率で算出した304万4142円が引かれるという。「当時、現場は疲弊し、確認が不十分だった。職員に改めて重大な事を引き起こしたと認識してもらい、二度と起こらないようにしたい」と話した。(武田遼)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル