東証1部上場のシステム開発会社「ネットワンシステムズ」(東京都千代田区)が受注した中央官庁のシステム開発を巡り、同社から虚偽の費用名目で約1500万円を詐取したとして、警視庁は9日、元社員の牟田(むた)友英容疑者(42)=東京都足立区=を詐欺容疑で逮捕した。給与とは別に多額の収入を得ていたとみられ、同庁は他にも余罪があるとみている。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、逮捕容疑は、ネットワンで中央官庁のシステム開発の営業を担当していた2014年6月、取引先から購入したパソコン数十台について、この業者に別の機器の納入経費としてネットワンに請求するよう指示。虚偽の費用として約1500万円を送金させたというもの。
パソコンは買い取り業者に売り、約600万円を受け取っていた。警視庁は牟田容疑者が同じ手口でパソコンの売却を繰り返し、少なくとも2億円を得たとみて裏付けを進めている。
ネットワンを巡っては、昨年1月、東芝や日本製鉄、富士電機といった大手企業傘下のシステム開発会社などとの間で、取引の実態がないのに帳簿上で実在するように装う「循環取引」が発覚。同年3月に公表した最終報告書で、循環取引が2015年から繰り返され、売上高の水増し額が計276億円に上ったことを明らかにした。また、それに先立ち、牟田容疑者が取引を主導したとして懲戒解雇していた。警視庁も一連の循環取引に牟田容疑者が関与した疑いがあるとみており、全容解明を進める。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル