若者を中心にテレビ離れが進む中、放送局が番組のインターネット同時配信に活路を見いだそうとしている。今春に本格開始したNHKに続き、日本テレビも10月から試行を始めた。視聴環境が激変し、テレビの在り方が過渡期を迎えている。
「もし一人暮らしを始めたら、多分テレビは買わないでパソコンとスマホだけになる。テレビがなくてもユーチューブなど面白いものはいくらでもある」
NHKが10月30日、大学生25人の意見を聞くために開いたオンラインの会合。現在は実家暮らしで親がNHK受信料を支払っているという学生が語った。
若者のテレビ離れは顕著だ。総務省の2019年度の調査によると、テレビをリアルタイム視聴していない人の割合は10代で38・4%、20代で34・1%。50代の7・2%、60代の6・4%と比べて圧倒的に多い。
量販店「ドン・キホーテ」では昨年から、ネット動画や映画を見るためのチューナーレステレビを販売している。親会社「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」によると、「若い世代を中心にテレビの用途は多様化しているので需要がある」(広報)という。昨年、国内のテレビ広告費はインターネット広告費に初めて抜かれた。
「いずれはローカル局も」 危機感募らせる地方
危機感を持つ民放は、放送と同時にネットでも番組が見られる同時配信に注目している。テレビを見る機会が少ない若者などの番組への接触機会を増やし、視聴者の地上波回帰を期待する。放送より広告単価が安く採算がとれないため、各局は当初、事業化に及び腰だったが、NHKが今春から「NHKプラス」を開始したことを受け、潮目は変わりつつある。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル