戦後75年の節目を迎える今夏、インターネットを活用して戦争と向き合う取り組みがあります。当時を知る世代が減り、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況でも、戦争の記憶を継承しようとする試みです。(木村浩之、国米あなんだ)
距離を保ちながら稽古
原爆投下の悲劇を伝える朗読劇の公演を毎夏に東京都内で開いている俳優の岡崎弥保(みほ)さんは、今夏初めて、無観客上演のネット配信に挑戦する。コロナ禍で一度は公演中止を決めたが、各地にいる高齢の語り部の思いに触れ、「継続が大事」と考えを改めた。
岡崎さんは2014年から毎年8月、東京都港区の劇場を中心に、各地で故・井上ひさし氏作の舞台作品「父と暮(くら)せば」を朗読劇にして上演してきた。原爆投下後の広島を舞台に、被爆した父の亡霊と娘の苦悩を演じる。
今年は劇場内クラスター(感染者集団)の危険性を考え、3月の時点で上演中止を決めた。しかし、新型コロナ感染の心配がありながら、各地の被爆者が語り継ぐ活動を続けていることを知り、「心が揺さぶられた」という。
東日本大震災の原発事故で「放射能」を考えるようになった。父が広島県出身で、父は被爆していないが、友人に被爆者が何人もいる。証言を聞く機会があり、自分なりの語り部活動を続けている。
5月にネット配信する許可を井上ひさし氏の事務所にもらうことができた。それ以降、計4人の出演者が距離を保ちながら稽古を続け、準備を進めている。
ネット配信は8月6日午後8時と同9日午後2時から。いずれも1時間50分にわたり無料配信する。「桂月(けいげつ)企画」で検索できる。岡崎さんは「コロナ禍であっても忘れてはいけない日がある。何もせずに戦後75年を迎えることはできなかった」と話している。
被爆者の体験記を閲覧できるサイトも
全国から収集した被爆資料のデジタルアーカイブ化に取り組むNPO「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」(千代田区)は6月、スマホやタブレットで身近な場所に住む被爆者の体験記を閲覧できる専用サイト(http://nomore.apllo.io/cesium/
原爆投下後の広島を訪れ「この…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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