長野県内のハンセン病患者の個人情報が載った資料が2月にインターネットオークションに出品された問題で、資料を回収したハンセン病市民学会(大阪市)の訓覇(くるべ)浩(こう)事務局長が27日、長野市で講演した。「同じことが再び起こらないという保証はない」と述べ、今回の課題を整理する検討会を立ち上げて県や国に問題提起していく考えを示した。
資料の表紙には「明治三十二年 癩(らい)病患者並血統家系調 大町警察署」と書かれ、赤字で「永年保存」と記載。内容は患者の氏名や生年月日などとみられ、新たな差別につながる恐れがあるとして訓覇さんらが今月3日、資料を出品した埼玉県内の古書店から回収した。
訓覇さんは「ネットでは中身も一時、部分的に公開されており、現在進行形の深刻な事態が起きた。調査は大町署だけでなく全国的に行われており、ほかの同様の資料はどのような状態にあるのか」と指摘。資料が流出した経緯や保管状況などを調べていくことが重要とした。
取材に対し、訓覇さんは、近く県内の人権団体などと発足させる検討会について「県にも何らかの形で参加してもらい、一緒に考えていきたい」と話した。
この日のセミナーはオンラインで発信され、ハンセン病回復者らが発言。会場を含む約150人が参加した。昨年5月に長野市で開催予定だった「第16回ハンセン病市民学会全国交流集会」がコロナ禍で延期になり、2022年の開催に向けて同セミナーは企画された。(北沢祐生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル