縫製されたベビー靴に霧吹きで水をかけ、金型を入れて重みで型を整える。一つずつ、丁寧に、コツコツと、手を動かし続ける。
香川県三豊市の子ども靴・子ども服メーカー「丸栄」の工場。中国籍の包津航(バオジンハン)さん(15)は、お盆明けからここでアルバイトを始めた。
勤務は平日の午後1時から4時半まで。終わるとすぐに、最寄りのJRみの駅から、1駅隣の高瀬駅へ向かう。駅から再び歩き、午後5時半が近づくころには、明かりのともった教室で机に向かう。
包さんは、4月に開校した三豊市立高瀬中学校夜間学級の生徒の一人だ。
学び直しの場 1期生は9人
夜間中学は、病気や貧困など、さまざまな理由で義務教育を十分に受けられなかった人らが学び直しのために通う。三豊の1期生は80代までの9人。ほかに、不登校になっている現役の中学生3人も、学ぶ場の選択肢の一つとして体験入学中だ。
包さんは父親の仕事の関係で、3年前に中国から来日した。今年3月に坂出市内の中学校を卒業したが、日本語の読み書きやコミュニケーションは十分にできず、4月から夜間中学に通い始めた。
ただ、日中は自宅で過ごすことが多かった。
「夏休みには、生活のリズム…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル