子どもが車内に置き去りになることを防ぐため、4月から保育園などの送迎バスに安全装置の設置が義務づけられた。今月末までの設置を促していた政府は27日、各施設の設置状況を公表。熱中症のリスクが高い夏本番を前に、設置率は5割台にとどまっている。
バス後方の窓に消音ボタン
埼玉県鶴ケ島市内のバス停に5月下旬、ある県立特別支援学校の送迎バスが止まった。「また明日ね」。乗務員は3人の子どもが降りるのを見守りながら、「○○ちゃん、降りました」と名簿で3人の名前の横に丸印をつけた。
すると、バスの中で「ピピ、ピピ」と大きな音が鳴り始め、運転手が立ち上がった。乗務員と2人で車内を見回しながらバスの後部まで歩き、後ろの窓に取り付けているブザーのボタンを押して、音を消した。
子どもの車内置き去りを防止するための安全装置で、ボタンを押さずに車外に出るとさらに大きな音が車外に向かって鳴り響く仕組みだ。
このバスを運行する会社は5月上旬に県内や東京都内で運行している全てのバスに安全装置を前倒しで設置したという。きっかけは4月、同校で子どもがあわや置き去りになる事案があったことだった。
県教育委員会などによると、子どもが座席で寝ているのに乗務員らが気づかず、バスを営業所に向けて回送。保護者の連絡を受けた学校からの問い合わせで子どもの存在に気づいた。子どもは無事だったという。
県教委は昨秋、別の学校のバスで起きた置き去りを受け、「安全管理マニュアル」を作成。マニュアルでは車内に子どもが残っていないかの確認や乗降時の氏名の突合などを行うことになっていたが、十分に実施できていなかったという。
バス会社の担当者は「名簿の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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