岸田文雄首相が訪れた演説現場に爆発物が投げ込まれた事件。近くの複数の防犯カメラには、木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で現行犯逮捕=とみられる男が現場へ向かう姿が記録されていた。容疑者の足取りが少しずつ見えてきた。
事件現場から直線距離で約300メートル離れた高台にある、和歌山バスの「雑賀崎(さいかざき)」バス停。そばに住む80代の女性は15日午前11時過ぎ、到着したバスから1人の若い男が降りるのを見かけた。時刻表によると、南海電鉄和歌山市駅を午前10時37分に出発し、雑賀崎を11時13分に出るバスだ。
男は黒っぽい服装で、右手にスマホを持ち、左腕に傘をかけていた。女性は「地元の人ではないので、観光だろうと思った」。
男は急ぐ様子も迷う様子もなく、漁港へ向かう階段を下りていった。「普通、初めて来た人はバスを降りたら辺りを見回すけど、そんな様子はなかった」
その日の夕方、テレビのニュースを見て女性は気づく。「髪形も服装も同じ。もしかして、あの人が?」
木村容疑者とよく似た男が事件現場へ向かって歩く姿は、複数の防犯カメラに映っていた。
午前11時17分、現場まで約200メートル。バス停から続く道を歩く男がカフェ「青天の洞窟」の防犯カメラに映っている。同じ店の別のカメラにも映っており、岸田首相を乗せたとみられる車列が漁港へ向かう様子を眺めている。男は慌てるふうもなく、そのまま道路を横断する。
容疑者に似た男、聴衆の中へ
同18分、現場から約100…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル