児童養護施設で暮らす子どもたちに、焼き肉を振る舞う。そんな食事会が、東京都内で続いている。始めたのは、かつて自己破産を経験した焼き肉店主。異例の会に込めた思いとは――。
カルビにロース、ソーセージ……。東京都江戸川区の焼き肉店「うしくろ」で先月、都内の児童養護施設で暮らす幼稚園児から高校生が、おいしそうにほお張った。小学4年の女児(9)は「こんなに柔らかいお肉、食べたことない」。本格的な焼き肉は初めてという子どももいた。
様子を笑顔で眺めていたのは、同店を含めて都内で7店舗を経営する韓永紀さん(51)。2018年にこの食事会を始めた。昨年はコロナ禍で見送り、今回が4回目。消毒や検温など感染対策を徹底し、まん延防止等重点措置の解除を待って開催にこぎつけた。「コロナであらゆる行事がなくなった子どもたちに、少しでも楽しみを提供したかった」と韓さんは話す。
自己破産後、おそるおそる聞いてみた
韓さんの実家は、1970年代から葛飾区内で焼き肉店を経営。大学卒業後の93年、父親から「宅配すしをやってみろ」と命じられ、言われるがままに経営者になった。当時はまだバブル景気の余韻が漂うころ。月の売り上げは1千万円にすぐ達した。
「てんぐになり」(韓さん)…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル