バリカン一つで髪を切る はさみ使えぬ警察署に通う理容師の25年

 香川県丸亀市の理容師、久保敏郎さん(50)は月に3、4回、バリカンとくしを持って丸亀署を訪ねる。留置されている人を調髪するためだ。

 留置とは、裁判所が出した令状をもとに逮捕した被疑者を、捜査のために一時的にとめおくことを指す。被留置人の調髪は、刑事収容施設法などで権利として認められている。誰もが自己負担で髪の毛を切ることができる。

 久保さんは署の近くにあるホーライ理容所(丸亀市通町)の理容師。60年近く前に祖父が開業し、その後を父が継ぎ、久保さんも自然と理容師を志した。

 父から被留置人の調髪を引き継ぐように言われたのは、大阪の理容所で6年間修行して郷里に戻ってきた24歳の頃だ。

 「社長に言われたら、まあ行くしかないな、という感じでした」。以後、要請が来る度に、理容所での仕事の合間を縫って署に足を運んできた。

警察署に留置されている人の調髪業務を父から引き継いだ久保さん。記事後半では、どんな苦労をしたのか聞いています。

 約20年前、転機があった…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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