バーテンダーと酒のよい関係 コロナ禍3年でカクテル缶を製造・販売

 アジアで名の知れたバーテンダーが、岐阜市にクラフトカクテルをつくる「長良酒造」を開いた。長良川の伏流水と地元の天然素材にこだわって調合したカクテルを一缶に詰め込む。きっかけは、新型コロナでバーの経営が振り回されるなかでの常連客のひと言だった――。

中垣さんは1968年生まれ。19歳でバーの店長。28歳で独立し、岐阜市金宝町1丁目に「バロッサ・コクテリエ」を開業しました。アジア全域のバーを対象に、各国のバーテンダーや有識者らが投票する「Asia’s 50 Best Bars 2022」(英ウィリアム・リード・ビジネス・メディア主催)の上位100人に東海北陸地方で唯一選ばれました。

 古い町並みが残る同市の観光地・川原町。中垣繁幸さん(54)は、明治時代に建てられた土蔵を借り、2021年10月から準備を始めた。約80平方メートルの蒸留所内には、酒や原料の貯蔵タンク、遠心分離機、風味を逃さないための減圧蒸留器などが所狭しと並ぶ。

 「自分でつくった酒をベースにカクテルを出せたら最高だろうな」。中垣さんは以前からそんな夢を描いていた。

 この3年はコロナに振り回された。営業時間の短縮、酒類の提供自粛……。客足は戻らず、経営もままならない状態だった。

 「マスターのカクテルを家でも飲めたらいいのに」。何げない常連客のひと言が心に刺さった。「小さな蒸留所でもやれるはず」と一念発起。酒造免許を取得し、クラフトカクテルづくりを決断した。

初めてのジントニック缶づくりは、「失敗の連続だった」と中垣さん。タンクの段階では、申し分ない苦みと酸味のバランスだったものの、缶に詰めると崩れてしまったそうです。

 コロナ禍の前から、蒸留所の立ち上げや、酒蔵のリキュール部門のプロデュースなどを手がけてきた。仕事柄、世界各地の蒸留所に足を運ぶ機会も多い。そうした知見や経験が今回の蒸留所の立ち上げに役立った。

 選んだのはジントニック。1…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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