新型コロナの自宅療養者向けに都道府県が無料で貸し出したパルスオキシメーターが、全国で少なくとも約30万個返されていないことが朝日新聞の取材で分かった。
購入価格は自治体ごとに違うが、未返却数が多い東京、埼玉、神奈川の3都県分から試算すると計約15億円となる。貸し出しは市や区なども実施しており、実際の未返却数はさらに多そうだ。
パルスオキシメーターは、血中酸素濃度を測る医療機器。貸し出しは、2020年4月に始めた国の新型コロナ感染症緊急包括支援事業の対象となり、同支援交付金が充てられた。購入や配送、回収を都道府県などが担い、今年5月に原則終了した。
朝日新聞は、全47都道府県に、自宅療養者向けの貸出パルスオキシメーターの確保数と未返却数について、今年7月上旬の状況を質問した。
45都道府県から回答があり、確保した計約176万5300個のうち、計約30万個が未返却。確保した数を基準にすると、未返却の割合は約17%だった。和歌山、熊本の2県は、同時期の未返却数を詳しく把握していないとの回答だった。
未返却は、都道府県別では最多が東京の約7万個で、次いで埼玉約5万5千個、神奈川約4万個など。
自治体の確保数を基準にした未返却の割合は、沖縄(約44%)、佐賀(約40%)、山口(約38%)など7県が30%超だった。
延べ貸し出し回数は「不明」とした自治体が少なくないが、把握していた自治体の大半が確保数を上回っており、1個を複数回貸し出していたとみられる。沖縄は確保した約4万6千個を21万回以上貸し出し、約2万個が未返却だった。
未返却者に督促すると、「なくした」「壊れた」などと答える人が多いという。
一方、割合は群馬の約1%(272個)が最低で、岩手と茨城が2%台だった。
機器の購入価格は、未返却数の上位3都県によると1個平均約5千円だった。(太田原奈都乃、福岡龍一郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル