プロ野球の阪神タイガースとオリックス・バファローズのリーグ優勝を祝うパレードが23日、大阪・御堂筋と神戸市で行われた。大阪会場では、おそろいのジャンパーを着て懸命に来場者の対応にあたる大阪府と大阪市の職員の姿が見られた。
大阪では午前にオリックス、午後に阪神、神戸では午前に阪神、午後にオリックスがそれぞれパレード。実行委員会によると両会場で計約96万人のファンが集まり、パレードバスに乗った選手たちに声援を送った。
一方、パレードを巡る大阪府と大阪市の対応には批判がつきまとった。
23日の大阪・御堂筋付近。「ここから先は進めません」「ここで立ち止まらないでください」。背中に阪神、オリックス両チームのロゴが入った白色ジャンパーを着た府市の職員約2500人が、ボランティアで来場者の誘導などにあたっていた。
経済団体や兵庫県などと実行委員会を構成する府市は10月、現地で来場者の誘導などを担う要員として、職員を対象に計約3千人のボランティアを募集。ただ、休日勤務の手当も交通費の支給もない。市では部署ごとに必要な職員数の目安まで示していた。
兵庫県と神戸市も同様に職員の動員を行ったが、公務として扱い、代休の取得も促しており、府市とは異なる対応だった。府市の労働組合は、吉村洋文知事と横山英幸市長に代休や交通費などを求める文書を提出。社会福祉法人「大阪ボランティア協会」も「(今回の活動は)ボランティア活動ではない」「職務と位置づけることが妥当」と文書で要望した。吉村知事は「あくまでも任意」と主張したが、職員からは「上司からボランティアを呼びかけられたら断りづらい」と不満の声が上がっていた。
また、開催経費に充てるため実行委はクラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。しかし、府が教員や職員にCFの周知を求める文書を出していたことも判明。教職員組合は「黙示の強制が働く恐れが排除できない」として、撤回を求める事態となった。
府市は寄付の呼びかけを続けているが、23日午後3時時点で目標金額5億円に対して集まったのは約9700万円。結局、経済団体が4億円余りの寄付を集めた。
パレードでは、実行委の名称に「2025年大阪・関西万博500日前!」と題したことも「スポーツの政治利用」と批判された経緯がある。
斎藤元彦・兵庫県知事は22日の会見で、CFが不調だったことについて「少し後で振り返って反省すべきところは反省しなければいけない」と述べた。これに対し、吉村知事は23日、記者団に「多くの職員は盛り上げたいと思ってボランティアをしている。CFは大成功で反省すべきところは何もない。(批判する人は)ファンや選手の顔を見て批判を続けられるのかなと思う」と語った。(原田達矢、鈴木春香)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル