宮城県涌谷町の涌谷保育園で、運営する社会福祉法人理事長によるパワーハラスメント行為を理由に保育士ら17人が退職してから約3週間。保育士不足の状態は続き、園児たちの精神面に不安定な様子が見られ、10人以上が転園を決めた。保護者会が求める説明会はいまだに開かれていない。
県によると、園児の定員約110人に必要な保育士は15人で、交代勤務も伴うため、さらに数人の確保が求められる。園からの報告では保育士は13人。県は早急に補充するよう指導しているが、今後もこの状態が続けば、さらに強い指導も検討するという。
町は12月上旬、保護者向けに転園の相談会を開き、約3割の保護者が参加した。これまでに園児4人が転園をし、8人が転園手続きをした。
保護者会は、個別に問い合わせた際の理事長の対応に不信感を抱いており、保護者が一堂に会した場での説明会開催を求めている。
これに対して、理事長は新型コロナウイルス感染予防を理由に、1回10人程度で分散して説明する方針を示したことから、16日夕、保護者会の有志約50人が涌谷保育園を訪れ、理事長に説明会開催を直談判した。
理事長はインターホン越しに対応し、「敷地外に退去するように」と繰り返した。理事長からの要請を受けた警察官が双方の間に入る場面も見られた。
保護者によると、子どもたちは心身に変調をきたしている。退職した保育士に見立てた人形に、「先生なんでずっとお休みなの」と、悲しそうな表情を見せる子や、保育園に行くのを嫌がる子もいるという。
夜泣きをするようになったと訴える保護者が複数いるほか、1歳児の母親は「今までは寝かしつける時だけ授乳していたのが、仕事から帰ると頻繁に欲しがる。私が離れるとママ、ママ、って探すようになりました。ストレスを感じているんです」と話す。
保護者会は改めて、理事長に対して保護者一同に説明会を開くよう求める方針だ。県も保護者会の意向にそった対応に努めるよう理事長側に促している。(角津栄一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル