地面にのんびり寝転び、ほとんど動かない。時々大あくびをし、のそのそ起き上がる……。愛くるしい見た目はもちろん、「だらだらぶり」も目を引くパンダ。そんなパンダたちが大好きなのになぜ、人間はぐうたら生きられる社会を作れないのか。私たちをあくせくさせているものは、一体何なのか。パンダを入り口に、現代人の「ぐうたら」論を考えてみた。
異分野からの考察も
記事の後半では、マルクス経済学と文化人類学の研究者が、あくせく働く人間社会を読み解きます。
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日本に3カ所しかないパンダのいる動物園の一つ、アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)には「良浜(ラウヒン)」「結浜(ユイヒン)」「彩浜(サイヒン)」「楓浜(フウヒン)」の4頭のジャイアントパンダがいる。
昨年末に訪れると、どのパンダの前もすごい人だかりだった。かばんにパンダのキーホルダーや缶バッジを大量につけた熱心なファンが何人もいて、お土産品もパンダ推しだ。
人気に加えて、改めて驚いたのは「のんびり、だらだらぶり」だった。
見学した計1時間ほど、パンダたちはほとんど動かなかった。特に「結浜」と「楓浜」はうつぶせになったまま、いっこうに動く気配がない。
顔も見せてくれないのに、人間たちは必死にその姿を写真に収めていた。
アドベンチャーワールドには、人間の指示通りにきびきび動いて観客を楽しませるペンギンやアシカのショーもある。
それを見た後は、パンダの「ぐうたら」ぶりがより際だって感じた。
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パンダの魅力は何なのか。神戸市立王子動物園で15年間パンダの飼育係を担う梅元良次さん(41)に聞いた。
「魅力は、シンプルに人から見てかわいいところですかね。まん丸で手足が短くてぬいぐるみのよう」
実は鋭い目をしているが、目の周りの黒い模様が斜めに下がっているのでたれ目に見えるのだという。
見た目のみならず「だらだら…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル