芸能界で身も心もすり減らし、ふるさと富山に戻って農業にはげむ一人の男性がいる。畑仕事にのめりこみ、採れたての野菜をかじる。その甘みに、感動するあたらしい自分がいる。
「パークマンサー」。その名で2000年代、2人組みユニット「軟式globe」でデビューした。女性ボーカルが歌う曲と歌詞にあわせ、体をくねらせ「そうだよ アホだよ♪」とラップ調でせりふをはさむアフロヘアの男性。それがパークさんだった。
昨年12月中旬、厚い雲が垂れ込めた富山市の畑に、パークさんはいた。表面を覆う雪を手のひらではらい、スコップで土を掘り起こすと、小ぶりのニンジンがあった。
ふるさと富山にもどり、1年がたつ。畑仕事に明け暮れる毎日だ。
富山県射水市に生まれた。小学6年で地元のダンス教室でダンスを始め、ダンサーをめざし東京へ。駒沢大経済学部に進学後、ダンススクールに通い、出会った教師が立ち上げた芸能事務所に入った。
間もなく転機が訪れた。2002年、人気アイドルV6のバラエティー番組「学校へ行こう!」への出演が決まった。人気歌手や音楽グループをパロディーで演じるコーナー。「そうだよ アホだよ♪」のセリフが中高生に受け、電車に乗ると乗客がざわつき、街を歩けば「アホだなー」という声が聞こえた。
「パークマンサーが嫌になった」
人気ドラマに脇役で出演した。短いセリフで30回以上つまずいた。劇団にも入ったが、脇役以上の依頼は来なかった。
その後10年以上、売れない役…
【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル