ヒグマ潜む森抜け、断崖絶壁へ あの日見たカズワン最後の姿

【動画】自然ガイドが見た「KAZUⅠ」最後の航海=戸田拓、佐野楓撮影

 自然を相手にすることのリスクとは――。事故前の船を目撃した自然ガイドは、改めて思う。

事故があったあの日、出航直後の観光船を目撃した自然ガイドがいました。船を見たのは、高さ約120メートルの断崖絶壁。ガイドとその場所に向かうと、事故当時の様子や知床の自然がより見えてきました。

 枝葉をのばす白樺(しらかば)の木々の隙間から、やわらかな木漏れ日が差し込む。耳をすませると、森の奥から、鳥のさえずりやエゾハルゼミの鳴き声が聞こえてくる。

 観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故から、1カ月を目前にした5月19日。事故当日、出航後のカズワンとみられる船を見た自然ガイドの綾野雄次さん(62)とともに、知床国立公園内の目撃地点を目指した。

 野生動物との遭遇率が高い約1キロのけもの道を、およそ3時間かけて歩く。ヒグマに遭遇した際の行動の取り方の説明を受けて臨んだ。

 案内されたのは、ガイドがいなければ立ち入れないエリア。100年以上前に開墾された開拓跡地を抜け、新緑が深まる原生林へと進んでいくと、すぐにヒグマの痕跡に出会った。

 木の幹に、鋭い三本の傷が縦…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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