天才少年がまた将棋界に金字塔を打ち立てる。4日行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦を制した藤井聡太七段(17)。8日開幕の棋聖戦五番勝負第1局に出場することで、タイトル挑戦最年少記録を更新する。「いつタイトルを取ってもおかしくない」と確実視されてきた藤井七段は、次はタイトル獲得の最年少記録更新を目指す。(中島高幸)
平成28年10月に史上最年少の14歳2カ月で四段昇段(プロ入り)を果たした。12月、“ひふみん”の愛称で親しまれる加藤一二三・九段(80)=引退=とのデビュー戦に勝利すると、そのまま翌年6月に前人未到の29連勝を達成し、“藤井フィーバー”を巻き起こした。
対局後のインタビューで「僥(ぎょう)倖(こう)」「望外」など言葉の端々に現れる少年らしからぬ博識、謙虚な姿勢に多くのファンが魅了された。連勝中や大一番の対局には報道陣が殺到したが、動じることなく、淡々と指す精神面の強さも注目された。
30年には朝日杯将棋オープン戦で羽生善治九段(49)らに勝ち、史上最年少の15歳6カ月で一般棋戦優勝を果たし、対局数・勝数・勝率・連勝の記録全4部門で1位を独占、最年少で「四冠王」となるなど、次々と記録を塗り替えてきた。
「記録は特に意識していません」。さまざまな記録を目前にするたびに記者から心境を問われ、必ずといっていいほど口にするのがこの言葉だ。続けて「目の前の一局に全力を尽くす」と強調する。
あとはタイトル獲得が待たれる。師匠の杉本昌隆八段(51)や、タイトル獲得数27期の谷川浩司九段(58)らは、早くから藤井七段の可能性に太鼓判を押していた。
一昨年、王座戦挑戦者決定トーナメントで準決勝に進出、あと2勝まで迫った。昨年11月には、王将戦挑戦者決定リーグ戦であと1勝で挑戦者というところで当時竜王の広瀬章人八段に敗れた。形勢が二転三転した末、終盤のミスで敗れた。このときについて藤井七段は「悔しいが実力をつけるしかない」と話した。
「まだ17歳。一つ一つの経験が血となり肉となっている」と杉本八段。名古屋市内の自宅で中継を見守り、「いつか必ず挑戦すると思っていたので、驚きはないです」。タイトル獲得への道は緒に就いたばかりだ。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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