被爆地・広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)が閉幕しました。主要なテーマの一つとして「核兵器のない世界」が議論されました。その道筋は見えたのか。さまざまな分野の方々に振り返っていただきます。
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G7首脳が出した核軍縮に関する「広島ビジョン」は、期待していなかったにせよ残念な内容だった。ウクライナで核兵器が使われるリスクについて十分に認識しているとは言えないし、核兵器による威嚇や使用についてしっかりと非難していない。
核の緊張が高まるなか、岸田文雄首相が広島でG7サミットを開いたのは良い取り組みだった。G7首脳が平和記念資料館を訪問し、被爆者に会ったのも適切だったと思う。残念なのは資料館での滞在が30~40分と短かったことだ。被爆者と十分なやりとりができたのか、実態を知る時間があったのかどうか。核兵器の衝撃について十分理解せずに資料館を去ることなどできないはずだ。
非常に問題かつ残念なのは、被爆者に会った後に、核兵器の防衛目的の役割に言及していることだ。核兵器の使用は、防衛目的であろうと新たなヒロシマを生み出すことになる。首脳たちが出した文書は「ビジョン」と題されているが、新しい具体的なビジョン(展望)は見えない。包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効を求めているが、条約の採択以来、30年近く続いている要求で新しいものとは言えない。
ロシアのウクライナ侵略、北朝鮮の核の脅威、中国の弾頭数増加などはどれも非難されるべきものだが、G7首脳は他国を名指しで批判するだけでなく、核軍縮に関して指導力を発揮し、責任ある行動を取るなどの基準を自らに課すべきだ。そうしたものは文書から読み取れない。
核の使用を防ぐために有効な…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル