独立行政法人・日本芸術文化振興会(芸文振)が、出演者が麻薬取締法違反で有罪判決を受けたことを理由に映画への助成金を不交付とした問題について、同法人を所管する文化庁は30日、衆院文部科学委員会で不交付は適切だったとの見解を示した。
不交付とされた「文化芸術振興費補助金」の原資は文化庁の予算。同庁の今里譲次長は「国の事業による助成金の交付は、薬物乱用が深刻な社会問題となる中、国が薬物の使用を容認するようなメッセージを結果的に国民に発信することとなるおそれがある」と説明。「交付が適当でないという判断は適切と考えている」と芸文振の対応を支持した。
芸文振は先月、「公益性の観点から不適当と認められる場合」に助成を取り消せるよう要綱を改正。助成を決めていた映画「宮本から君へ」に出演するミュージシャンのピエール瀧さんが有罪判決を受けたことが理由だとしていた。
質問した立憲民主党の初鹿明博衆院議員は、不交付決定が要綱改正前だったことを指摘し、「文化に関して、恣意(しい)的な判断を加えて補助金を出さないということがないようにしていただきたい」と述べた。(上田真由美)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル