横須賀市と北九州市を結ぶフェリー就航が7月1日に迫るなか、発着地となる横須賀港新港ふ頭を利用してきた地元港湾事業者の反発がやまない。2018年12月、上地克明市長が「第二の開国」との期待を込めてフェリー誘致を発表して2年余。ふ頭には旅客ターミナルが姿を現し、関連工事も急ピッチで進むが、市が就航の前提とした地元事業者との「共存」の道筋は、不透明なままだ。(佐々木康之)
荷役の妨げ、補償を求める
4月30日。市みなと振興部の幹部が、横須賀港運協会が使う新港ふ頭脇の建物を訪れた。フェリー就航までちょうど2カ月。市に共存策の説明を求め、地元事業者らが設けた場だ。
遠くは地中海から来る冷凍運搬船から輸入マグロを水揚げする昌栄産業の太田孝社長が、ただした。
「1日200トン揚げれば600万円。それがなくなる。補償してくれるのか」
主に欧米へ輸出する完成車を自動車運搬船へ積み込む相模運輸倉庫の実務担当者も、「月3千台を積み込めば、2500万円から3千万円の売り上げがある」と続けた。
事業存続を悲観するのは、新港ふ頭で新たに造られたフェリー関連施設の存在が理由。その一つが、船体を受け止める防舷材だ。
市は2月から約1億3千万円を費やし、高さ約3~4メートルある防舷材を3基設けた。樹脂パッドを付けたコンクリート製構造物だ。「マグロをつるす運搬船のクレーンが当たる。荷受けのトラックも寄せられない」と太田社長は懸念する。
フェリーの運航日程にも事業者は不安を募らせる。フェリーは火曜~日曜の毎日深夜の3時間、横須賀港に入港。一方、マグロ運搬船の多くは2~3日間接岸し、1週間以上も岸壁に着けることもある。フェリーが就航すれば毎晩、運搬船の沖出しを強いられる。
タグボートの手配など、離着岸に必要な費用はざっと35万円。「仮にふ頭で荷役ができたとして、だれが沖へ出す費用を持つのか」
自動車荷役の相模運輸倉庫が懸念を抱くのは、岸壁そばに立つ旅客ターミナルの存在。自動車運搬船から岸壁に渡す自動車搬入路「ランプ」のうち、船体中央の「センターランプ」と位置が重なり、荷役を妨げる可能性がある。
みなと振興部の上之段功部長は「実際にこれから、皆さんにどんな負担があるのか、影響を受けるのか、具体的にお聞きしたい」と応じ、こう繰り返した。
「今の段階で、補償を約束することはできない」
市、年2.4億円の経済効果試算するが…
新たにフェリーを運航するの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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