夜のパン屋さん。通称「夜パン」。週に3回、本屋の軒先を借りた店で売られているのは、さまざまなパン屋から集められたパンだ。開業から1年。フードロスを減らす支援の輪が少しずつ広がっている。
ハード系、総菜系、食パン。11月の木曜日の午後7時前、東京・神楽坂の「かもめブックス」の軒先の卓上に、都内の6店舗から集められたパンが並べられた。子どもと家路を急ぐ母親、通りすがりの会社員、若いカップル、近所に住むお年寄り。オレンジ色の光に吸い寄せられるように人だかりができた。
手がけているのは、「ビッグイシュー日本」(大阪市北区)の東京事務所。ホームレス状態の人らが路上で販売し、売り上げの一部を生活資金に充ててきた雑誌「ビッグイシュー日本版」の発行元の会社だ。2020年10月に、このパン屋を始めた。
「みんなに配って終わるのではなく、何かが循環するような、お金が生まれるようなプロジェクトができたらうれしい」。19年末に寄付を寄せた男性の、そんな願いが発端だった。
同社の関連NPO法人「ビッ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル