栃木県那須塩原市の田園風景の中に突然、最高70メートルを超える数十本もの巨大な鉄塔や鉄のおりのようなものがそびえ立ち、送電線が張り巡らされた独特な光景が広がる。一般財団法人「電力中央研究所」の塩原実験場だ。
栃木県は国内有数の雷の多い地域。宇都宮市は「雷都」とも呼ばれ、宇都宮地方気象台によると、4~9月の暖候期、同市の雷日数は全国一という。実験場は、世界最大級の雷発生装置を備えた研究施設だ。
三木恵・塩原実験場長(58)に連れられて、早速、雷発生装置の近くに行った。雷が周囲にどのような影響を及ぼすのかを調べる装置だ。
「まばたきを我慢して下さい。見逃しますよ」。ブザーが鳴った約2秒後に、一瞬の閃光(せんこう)と轟音(ごうおん)が響いた。つり下げた棒と下に敷かれた平板の間に人工の雷が現れた。光る時間は10万分の1秒以下といい、あっという間だった。長さは約3メートルと短かった。
実験場は見学を受け入れており、周辺の学校や企業などのほか、那須観光に訪れた人が立ち寄ることもある。コロナ禍で一時中止されていたが、今年6月から徐々に見学を再開している。
電力中央研究所は電気事業に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル