高橋俊成
愛知県半田市の県営住宅で2015年、ブラジル国籍の姉妹が殺害された事件で、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた妹の元内縁の夫でペルー国籍のラ・ロサ・ビテ・エドガルド・アントニー被告(37)の裁判員裁判で、名古屋地裁は27日、求刑通り無期懲役判決を言い渡した。吉田智宏裁判長は「結果は誠に重大。(火災の)発見が遅れれば他の住人にも被害が及びかねない危険性が高かった」と非難した。
被告は捜査段階からほぼ黙秘していた上、直接証拠が乏しい中、検察側は状況証拠を重ねて有罪を主張。一方、弁護側は刑事責任能力がなかったなどとして無罪を訴えた。
判決は、被告には元内妻との間に交際を巡るトラブルがあったとし、これが殺害の動機になり得たと認定。その上で、火災発生時刻ごろに被告が現場周辺にいた▽事件当夜、被告と一緒にいた娘2人が警察官の職務質問に対し、事件の概要を知っているとの趣旨の話をした――ことなども踏まえ、「被告が犯人だと推認できる」と結論づけた。
また、判決は、姉妹と居合わせた娘2人らを火災現場から退避させるなどした被告の行動について「合理的で、完全責任能力があった」と指摘。弁護側の訴えを退けた。
判決によると、被告は15年12月30日、元内妻のアマリリア・マルヤマ・キンベルリ・アケミさん(当時27)と姉ミシェリさん(同29)の自宅で、2人の首を圧迫して殺害。ガソリンをまいて火を放ち、遺体ごと部屋を焼損した。(高橋俊成)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル