加藤あず佐
真っ黒なたこ焼きに中華麺、黒いクリームのマリトッツォ……。甲南大学(神戸市)の学生らが、「竹炭」を使ったフードメニューの普及に取り組み、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。背景にあるのは、六甲山の放置竹林問題を解決したいという、学生たちの思いだ。
武藤彩葉さん(4年)ら6人の学生が取り組む。きっかけは昨年、学生らが地域課題を考えるイベント「関西湾岸SDGsチャレンジ」(甲南大学、朝日新聞社メディアビジネス局主催)に参加したことだ。神戸市内の里山で、荒廃した竹林を目の当たりにした。「地域のボランティアが高齢化して整備が難しいということを知り、自分たちに何ができるかを考えた」と武藤さんは話す。
竹は炭にすれば、有機農業の肥料として使える。「多くの人に、活用を考えてもらうことが大事だと思った」と、メンバーの寺山恵一さん(3年)。パウダー化すれば食品にも使えるため、パンケーキやプリンを作ってみた。真っ黒な見た目のインパクトは抜群。SNSで拡散し、黒さの秘密が竹炭だと伝われば、関心を持ってもらえると考えた。
まずは学内で販売してもらおうと、メンバーは大学生協にメニューを提案。11月に2週間、竹炭でデコレーションしたパンケーキや、クリームに竹炭を混ぜたマリトッツォをカフェメニューに入れてもらうことになった。名付けて、「ブラックうまいデー」だ。
学外にも広げようと、大学周辺の飲食店に竹炭パウダーを使ったレシピを考えてもらった。ハンバーガーやハヤシライスなどのレシピが集まり、インスタグラムで公開した。
メンバーは定期的に、神戸市内の放置竹林の伐採に取り組んでいる。「竹炭パウダーの商品化を目指し、継続的な消費につなげたい」と寺山さん。10月末からCFを始め、竹炭を加工する器具の費用などを集めている。返礼品には、飲食店の協力を得て作った、竹炭入りのたこ焼きや中華麺などを用意した。詳細は、CFのサイト「CAMPFIRE」で「BambooにThank you」と検索。(加藤あず佐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル