三重県いなべ市の聖宝寺(しょうぼうじ)で、“石を盗まれる悩ましい問題が起きています。その理由とは?
取材班は聖宝寺に向かい、中井泰山住職に話を伺うと…。
「この辺にあった“コケの生えた石”が持っていかれそうになったことがありました」(聖宝寺 中井泰山 住職)
国歌にも歌われるさざれ石の表面を覆うのは、時間の流れを象徴するように生えたコケ。
住職が注意したときは事なきを得ましたが、最終的には誰かが持ち去ったといいます。
さらに、木の根元にあったコケの一部が盗まれる事態も。
「コケというものは地べたに生えて、私たちを守ってくれているような存在なので、私は大事にさせていただいていますけど」(聖宝寺 中井泰山 住職)
盗難被害の原因、それは観賞用などコケの人気が高まっているからなんです。その魅力はどこにあるのでしょうか。
三重県伊勢市にあるおかげ横丁では、観賞用のコケを販売するイベントが行われていました。
コケの玉にかわいらしい目がつけられた作品やヒマワリが植えられたものなど盆栽家などが作った約300点の作品が販売されています。
数ある作品の中には、コケ玉を空中に浮かせた作品もありました。
この作品を作ったのは、苔玉作家の奥野知子さん。
奥野さんは、この日も許可を得て、三重県南伊勢町の山林にコケを集めにやってきました。
「コケを見てます。いいコケをいつも探して。ここいいなというのがあれば、とりたい衝動にかられる。いい状態のコケです。これすごく素晴らしい」(奥野知子さん)
岩肌を覆うように生えていたコケ。触り心地はじゅうたんのようにフカフカしていて、少しずつ丁寧にコケを取っていきます。
「心の中も浄化されるような気がして、山に入ってコケに触れるのが自分の中で癒やし効果になっていて好きな時間」(奥野知子さん)
15年ほど前、タケノコ掘りをしているときにたまたま見つけたコケで苔玉を作って以来、その奥深さにはまったという奥野さん。去年には、コケの専門店を設立しました。
販売や体験会でコケが注目され始めた一方で、三重県内でコケが持ち去られる被害も耳にするようになったといいます。
コケが元に戻るまでにかかる月日は半年から1年といわれ、環境の変化などの影響を受けやすいため、採取を適切に行うことが求められています。
中京テレビNEWS
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