プール離れに待った! トップスイマーのオンライン指導が充実(産経新聞)

 競泳界では、自宅にいながらトップ選手らの水泳指導が受けられるオンライン授業のニーズが高まってる。新型コロナウイルスの影響を受け、各地でプールが使えなくなってきた3月上旬、2004年アテネ五輪競泳男子個人メドレー代表の森隆弘さんはいち早く、動画投稿サイト「ユーチューブ」で「練習ができないときにやるべきこと」を配信し、再生回数が1万5000回を超えた。森さんは「(子供たちの)水の感覚はすぐに戻る」とした上で、「自宅でも心身を整え、イメージしておくことで水中での技術向上につながる」と話す。

 森さんは2008年に現役を引退後、慶応大水泳部のヘッドコーチを務め、11年からスポーツクラブなどで子供たちへの水泳指導を行っている。同時に12年からは、競泳界全体へ記録短縮のために必要なノウハウを伝えたいと、「ユーチューブ」にチャンネルを開設。約3万人の登録者は自身にとっての“教え子”と同じだ。

 コロナの影響で、利用していた各地のプール施設が閉鎖されていく現状を目の当たりにし、すぐさま以前公開した自宅でできる筋力トレーニング動画をリストアップして再投稿。合わせて力を入れたのが、有識者との対談企画だ。

 脳神経内科の医師と対談し、外出自粛中でのストレス解消法を聞いたり、心理学の専門家に自宅でできるメンタルトレーニングの方法を聞いたり。中でも反響が大きかったのが、競泳男子200メートル平泳ぎの元世界記録保持者、山口観弘(志布志DC)との技術対談だ。

 きっかけは競泳界のエース瀬戸大也が、自宅の庭に設置した専用プールで腰にチューブをつけ、自由形と平泳ぎを泳いでいる動画をまねした子供たちの動画だ。体力がないため、チューブの強い反発力によって、泳ぎが大きく崩れていた。4泳法の中でも特に平泳ぎは、重心移動のタイミングが難しく、泳ぎのバランスが崩れると修正にも時間がかかるとされる。

 対談では、山口が平泳ぎのコツを伝授する形で、上半身と下半身の動きを連動させるテクニックや、実際に行っている練習方法、さらに自宅でできる筋トレなどを紹介。約800人が視聴していたライブ配信では、東京五輪を目指す現役コーチからもコメントが入るなど、反響の高さがうかがえた。

 男子平泳ぎで五輪2大会連続2冠の北島康介さんが設立したスイミングスクール「KITAJIMAQUATICS(キタジマアクアティクス)」や、競泳男子50メートル自由形日本記録保持者で現役の塩浦慎理(イトマン東進)も、「ユーチューブ」を活用した指導や情報発信を始めている。

 スイミングスクールは、1964年東京五輪の完敗を機に日本各地で生まれ、競泳ニッポンの五輪や世界選手権での躍動を支えてきた。インターネットを使った新時代の指導法は、コロナウイルスの影響で懸念されているプール離れを食い止める一助となるかもしれない。(運動部 西沢綾里)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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