福岡市博多区の介護老人保健施設「楽陽園」(入所者99人)で2日に確認された新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)で、市は軽症や無症状の入所者5人と職員2人の施設内療養を決めた。福岡県内の感染症病床(66床)の3分の2が既に埋まり、入所者の5人は認知症で一般病院の受け入れも難しいためだ。感染者がクルーズ船で待機したケースでは船内で感染が広がった。入所者は高齢ばかりで、関係者は施設内感染が広がらないか神経をとがらせている。
「症状が悪化したら速やかに感染症病院などに移します」。同市の荒瀬泰子副市長は2日夜の記者会見で、施設内の健康管理に万全を期す考えを強調した。楽陽園の感染者は70~90代の入所者6人と20~40代の職員3人。このうち入院しなかった入所者と職員の計7人を、感染者専用フロアとした4階に隔離し、そこで療養することになった。
隔離される入所者は重症化しやすい高齢者が多く、本来なら感染症病床への入院が望ましい。だが、同県内の感染者は既に100人を突破。入所者は認知症で徘徊(はいかい)防止などの専門的な対応も必要で一般病院への入院は容易ではないという。施設には、もともと医師や看護師などの医療スタッフが常駐。荒瀬副市長は「一般病院に準ずる対応が可能と考えている」と話す。
ただ、専用フロアの階下には、感染していない入所者約90人もいる。感染対策の徹底は不可欠で、市は施設に防護服や医療用マスクを提供。医療スタッフは防護服を着用するなどして感染者に対応している。
施設内では感染者や担当職員のほかのフロアとの行き来を制限するなど厳戒態勢。市は「感染予防マニュアルを徹底し、大学の助言も受けながらしっかり対応する」としている。 (黒石規之)
西日本新聞
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