ホームの売り子で人気、「川田まんぢう」終着駅へ 消えゆく鉄道菓子

 創業151年で、阿波の銘菓「川田まんぢう」を製造・販売する徳島県吉野川市山川町の和菓子店、吉田商店(長久堂)が10月末で閉店することになり、地元でショックが広がっている。実はこの菓子は昭和の終わりごろまで駅のホームで立ち売りされ、名物売り子さんもいた。古き良き鉄道文化の遺産がまた一つ消えると、鉄道ファンからも惜しむ声が上がっている。

 「この度(たび)店舗老朽化、職人高齢化、物価高騰のため令和5年10月末日をもって閉店させていただくことになりました」

 同社がX(旧ツイッター)に投稿した閉店のお知らせは今月11日時点で、表示された回数などを示すインプレッションが43万回を超えて反響を呼び、「寂しい」「辛(つら)い」といったコメントが数多く寄せられている。

 国道192号沿いの販売店「国道店」では連日、食べ納めするお客が列を作り、午前中の売り切れが続く。

 「家業というより、『川田まんぢう』を地域からお預かりしているつもりで続けてきた。閉店を知って訪れる人が話してくれるドラマを聞き、こんなにも愛されていたのかと、ありがたい気持ちでいっぱいです」

 長久堂の6代目社長、吉田恵子さん(49)は話す。

 1872(明治5)年に現在の阿波市で創業。1907年に徳島駅を起点とする徳島鉄道(現在のJR徳島線)が初代の川田駅まで延伸したのを機に、駅近くに移転した。

 その頃販売が始まったと伝えられる看板商品、川田まんぢうは、小豆の皮をむいて作った薄墨あんを薄皮で包んだ直径3センチほどの一口サイズで、食べやすいと駅の利用客や鉄道関係者らに喜ばれた。

 川田駅は徳島線が阿波池田まで開業する7年後まで、終着駅だった。駅前には旅館や弁当店、さらには遊郭まで軒を連ね、にぎわったと伝えられる。

「最後の売り子」と呼ばれた

 人気を確立したのは、戦前に…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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