ボクシング亀田氏側のライセンス不許可処分 高裁もJBCに賠償命令

村上友里

 プロボクシング元世界王者の亀田興毅氏と2人の弟らが、日本ボクシングコミッション(JBC)から受けた「不当な処分」で試合ができなくなったとして、JBCなどに約6億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。石井浩裁判長は、処分を違法としJBC側の賠償責任を認めた一審・東京地裁判決を追認した。賠償額は、一審判決の計4550万円から増額した。

 亀田氏側が「不当な処分」と訴えたのは、JBCが2014年に亀田ジムの会長とマネジャーのライセンス更新をしないとした処分。これによって亀田氏3兄弟は国内で試合ができなくなったとしている。

JBC「亀田氏側が混乱を生じさせた」と主張

 この処分は、13年に国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフライ級王者だった次男の大毅氏と世界ボクシング協会(WBA)同級王者が戦った王座統一戦をめぐる亀田氏側の対応を問題視したものだった。この試合前日にWBA王者が計量で失格となり、IBF側は当初、「大毅氏が敗れた場合は王座は空位」と発言した。実際の試合で大毅氏は敗れたが、試合後に亀田氏側とIBF側が試合前日の発言を覆し「王座は維持」と訂正して大毅氏は王座を維持。これに対し、国内で開催される全てのプロボクシング試合を統括するJBC側は「混乱を生じさせJBCの信用を傷つけた」と判断して処分を下したという。

 亀田氏側はこれまでの訴訟で、試合後の会見について「JBCに事前相談をする時間的な余裕はなく義務があったとはいえない」とし、処分の理由にはならないと主張していた。

一審判決、JBC処分は「違法」と認定

 20年の一審・東京地裁判決は、試合後の会見は「正確な情報を発表したにすぎない」と指摘。「信用が傷ついたとすれば十分に確認しなかったJBCに原因がある」とし、ライセンスの更新を認めない処分について「社会通念上相当性を欠き違法」と結論づけた。

 損害額については、処分がなければ3兄弟は14年中に少なくとも1試合ずつそれぞれが行うことができたとし、前年の1試合平均のファイトマネーに相当する額を損害と認めた。

 JBC側は一審判決を不服として控訴し、亀田氏側も賠償額を不服として控訴していた。(村上友里)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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