北海道十勝地方の小さな町の一角で、毎日「ドーン!」という大きな音がとどろく。コメ、マメ、トウモロコシを自在にあやつる「ドン菓子の伝道師」が、今日もその太い腕で、ハンマーを打ち下ろしている。
全国的には「ポン菓子」の名前で知られるが、北海道ではその爆発音さながらにドン菓子と呼ぶことが多い。コメなどの穀類を釜の中で熱しながら圧力をかけ、一気に開放することで膨らませ、水あめなどをからめて食べる昔ながらのお菓子だ。
熱した圧力釜のフタは、ハンマーで機材を勢いよくたたいて開ける。この時に大きな爆発音がして、出来上がった菓子が一気に噴き出す。
北海道本別町の中心市街地で今日もドン菓子の機械に向き合うのが、つしま商店の対馬憲二さん(68)だ。本別の地名はアイヌ語で小さい川を意味する「ポンペッ」が由来。そんな「ポン」にもゆかりの深い町で、ドン菓子作りに励んでいる。
コンビニから一転、ドン菓子作りに
関東や札幌で過ごしていたが、家業だった食料品店を継ぐため、1990年代に本別に戻ってきた。その後、店をコンビニエンスストアに衣替えしたが、町内に大手のチェーン店が進出すると経営は一気に苦しくなった。「このまま続けていても難しい」と悩む日々だった。
転機は約20年前、近くの町…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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