武沢昌英
新型コロナウイルス感染対策のため議場でのマスク着用を義務づける北海道白糠(しらぬか)町議会の申し合わせに反し、議長から退場や発言禁止を命じられた町議が、自らの発言権の確認などを求めた訴訟の判決が29日、釧路地裁であった。新谷祐子裁判長は「議会の運営方法については議会の自律性に委ねられるべき問題」として、町議の請求を却下した。
原告は6期目で無所属の福地裕行町議(71)。福地町議は控訴する方針。
判決によると、町議会は2020年3月の議会運営委員会で、マスク着用を含む新型コロナウイルス感染対策を申し合わせた。
福地町議は21年7月5日の臨時町議会に、マスクを着用しないまま出席し、議長がマスク着用を促したが拒否。議長は退去を命じるとともに、発言を禁じた。福地町議はいったん退席したが、口元をくりぬいた穴あきのマスクをつけて再入場。「穴空いている大きさが違うだけで、マスクはマスク」などと発言し、議場での発言を求めた。しかし、議長は飛沫対策が不十分だとして発言を認めなかった。
判決は、退去命令や発言禁止命令の適否は町議会の自主的、自律的な解決に委ねられるべきものだと指摘。司法審査の対象外として「不適法」と結論づけた。
また、福地町議は20万円の慰謝料の支払いも求めたが、判決は「理由がない」として退けた。(武沢昌英)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル