銀行の窓口で出金や振り込みの処理を担う。高額の場合、用途を確認することになっているが、静岡銀行大船支店=神奈川県鎌倉市=で働く高野やよいさん(45)は、心が折れそうになることが何度かあった。
「自分の金なのになんで使い道を言わないといけないんだ!」
「早く手続きしろよ!」
たいていの客はいい顔をしない。それでも、「お客さまの資産を犯罪から守ることも大事な仕事なんだ」。自分に言い聞かせ、声を掛け続けてきた。
その日は雨が降っていた。なじみの男性客が出金伝票を握りしめ、窓口に駆け寄ってきた。
「急いでお金を下ろしたいんだ」
80代でいつもは息子と車で来店するのに、ひとりでバイク用のヘルメットを抱えたまま。マスクも着けていなかったが、「急いで来たんだ。忘れたよ」。高野さんは違和感をおぼえた。
「今日はどうされました?」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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