久保田一道
老朽化した分譲マンションの管理や建て替えを円滑に進めるため、法制審議会(法相の諮問機関)は8日、所在不明の所有者を決議の対象から除外するなど、合意形成の要件を緩和する中間試案をまとめた。法務省はパブリックコメントを実施したうえで、来年の通常国会にも、マンションの管理方法を定める区分所有法などの改正案を提出する方針。
同法の定めでは、分譲マンションの共用部分の外壁や通路を修繕する場合には所有者の過半数、建て替えには5分の4、建物と敷地の一括売却には全員の賛成が必要となる。所在がわからないなど決議に参加しない所有者は「反対」とみなされる。
国土交通省の調査によると、築40年超の分譲マンションが10年後に倍増する見込み。今後、高齢化や相続などを通じて所有者の所在が分からず、必要な賛成を得るのが難しくなり、老朽化した建物の管理や建て替えが滞ることを懸念する声がある一方、決議で少数となる所有者らの権利保護も課題となる。
今回の試案では、一定の手続きをとることを要件に、所在不明などで決議に参加しない所有者を多数決の母数から除くことができるようにした。また、集会への出席者だけで多数決をとり、決議をする制度も検討する。
法制審では、建て替えに必要な賛成の割合を引き下げることも議論されている。これまでに現状の5分の4から一律に4分の3に引き下げる案や、耐震性や火災に対する安全性、バリアフリー基準への不適合など一定の要件を満たした場合に限り、緩和を認める案も出ている。(久保田一道)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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