マンションの住民が新型コロナウイルスに感染したら、どうすればいいのか。エレベーターや集会室といった共有部分から感染が広がり、クラスター(感染者集団)が発生するのではないかと心配する声もあがる。感染の第2波が懸念される中、住民でつくる管理組合は予防も含めて次善の策を考えてもよさそうだ。
神戸市長田区のマンション「高取台サンハイツ」の管理組合に4月中旬、危機対応室が設置された。組合役員ら6人がメンバー。住民が感染した時の対応を担う窓口だ。
4月7日に東京都、大阪府など6都府県とともに緊急事態宣言が出された兵庫県。外出自粛が要請され、日に2桁の感染者が明らかになった。
「もしマンションで感染者が出たらどうするか」。高取台サンハイツは築45年、入居する90戸の半数が65歳以上の高齢者世帯。管理組合は対策を急ぐことにした。
全戸へのアンケートもふまえ、感染者が出た時のルールを定めた。感染者本人や家族が危機対応室長に申し出る。本人の同意を得た後、同室が氏名や部屋番号を伏せたまま、住民が感染したことを記したビラを全戸に配る。住民はその情報を外部に漏らさない――と決めた。
高齢者の見守り活動を毎日するなど、住民同士の結びつきは強い。組合理事長兼室長の三ケ本(みかもと)義文さん(77)は「重要な個人情報に絡む難しい判断だったが、絶対に感染者を『悪者』にしないことにしている。普段から住民同士の信頼関係があったからこそできた」と話す。
約1100世帯が暮らす川崎市高津区のマンション「パークシティ溝の口」も4月、管理組合と自治会、管理会社でつくる対策本部が「感染したら管理会社に連絡」とルール化した。
連絡を受けた対策本部は本人の同意を条件に、感染者が出たことをマンション内の掲示板で周知する。マンション内の消毒が必要になれば業者に依頼。自宅待機が必要になった住民には買い物や行政への連絡などの生活支援も考えている。
対策本部を立ち上げた住民の山本美賢(よしかた)さん(56)は「不確かな情報が広がり、感染者が悪者扱いされることが一番の懸念。あらかじめルールを決めておくことで相談しやすい環境を作り、感染拡大の防止にもつながると考えている」。
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住民に亀裂も
マンションにおいて、良好な住環境を維持する業務を担うのが管理組合だ。通常、マンションの管理規約に感染症対策を求める具体的な記載はないとみられるが、管理組合はどこまで対応すればいいのだろうか。
国土交通省市街地建築課は「(…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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