マンションの共用部分に欠陥があるのに、中古で購入した所有者は損害賠償請求できない――。横浜市のマンション住民らが起こした訴訟で、過去の判例を理由にこんな事態が起きている。かねて同様の問題を指摘してきた日本弁護士連合会は法改正を求め、国の諮問機関も見直しの議論を加速させている。(山本孝興)
一つの判決がきっかけに
横浜市の総戸数139戸のマンションでは昨年1月、敷地内で古い擁壁が見つかった。「安全性が確認できず、改善が必要」と市から指摘された。
専門業者に依頼したところ、改修費用だけで1千万円近くかかるという。擁壁は分譲前からあったが、販売時に重要事項説明書などで説明はなかった。
住宅品質確保促進法では、売り主は新築物件の引き渡しから10年は、欠陥が見つかると補償しなければならない「瑕疵(かし)担保責任」を負う。
住民らは昨年末から売り主の事業者側に補修を求めてきたが応じないため、今年8月に損害賠償請求訴訟を起こした。
訴状によると、改修などにかかる費用は約1064万円。だが、請求金額は約405万円だ。
なぜ半分以下の請求にとどまるのか。理由は、過去に示された一つの判決にある。
■損害賠償請求権はだれのもの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル