ミシュラン星つきレストランから「ご指名」を受けるパプリカがある。手がけるのは、農業にあこがれてきた女性。パプリカがメジャーでない頃から挑戦と失敗を重ね、9割が輸入物とされる中で、1人で生産している。「答えはないかもしれないけど、おいしいパプリカを追求し続けたい」
生で食べても、煮詰めてソースにしても
「このパプリカでないと、ここまで完成されたひと皿は作れません」
「ミシュランガイド東京2022」で2年連続で一つ星に輝いたイノベーティブイタリアンレストラン「FARO(ファロ)」(東京・銀座)は取材にそう答える。
ローストしたタマネギにピーナツバターを挟み込んだ一品には、黄色と赤色のパプリカソースが彩りを添える。卵や乳製品も含めて動物性食品をいっさい口にしないビーガン向けのコースでは、パプリカが主役にもなる。「パプリカそのものの味が強く、糖度も高い。そのまま生で食べても、煮詰めてソースにしてもおいしい」
アパレル店長から専業主婦に
銀座から150キロ以上離れた赤城山を望む群馬県沼田市の中條農園。パプリカは、ここで作られている。ビニールハウスに入ると、つやのある赤や黄色のパプリカが緑の葉の間で輝いていた。いい香りも漂う。
農園を営む中條綾子さん(5…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル