敗戦の焼け跡で「源氏物語」や「枕草子」といった日本の古典を守ったのは、だれだったのか――。直木賞作家、門井慶喜さんの新刊『定価のない本』(東京創元社)は、古書の街として知られる東京・神田神保町を舞台にした長編ミステリー。相場によって値段が変わる古書を通して、あり得たかも知れない歴史の危機を描く。
終戦の翌年、GHQ占領下にある神保町の片隅で、一人の古書店主が、崩れた本の下敷きになって死亡する。昔なじみの同業者、琴岡庄治(ことおかしょうじ)は事後処理を引き受けるが、その死には不審な点が見つかる。事故か、事件か。謎を追ううち、大きな陰謀が姿をあらわす。
「学生の頃から京都の古書三大…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル