宮崎県水産試験場内水面支場(小林市)が、同支場で生産したロシアチョウザメの中から、メスだけを生む「超メス」の候補を作り出すことに初めて成功した。近畿大水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)との共同研究。将来的には「超メス」の育成を進めて稚魚すべてメス化を達成し、養殖キャビアの生産コストを大幅に減らすことを目指す。
チョウザメは生殖能力を持つまで時間がかかり、生まれてしばらくの間はオスとメスを判別できない。そのために性別が判別できるまで数年間は個体の半数を占めるオスも養殖せざるを得ず、飼育環境やえさ代などが高くつき、魚卵のキャビアの値段が高止まりすることにつながっていた。
県水産試験場の研究では、性別決定に関わる染色体のDNA配列を検出する検査法を開発。精子に紫外線処理をして受精させ、その受精卵に温度処理をすることにより、「超メス」の遺伝子だけをもつ個体を確認した。理論上では、超メスの卵を受精させた次世代の稚魚はすべてメスになるという。
今後は、作り出した「超メス」の定期的な検査・分析を進め、生殖能力を持つ7年後に交配させ、稚魚がすべてメスになるかを調べる予定だ。最終的に「全メス化」を目指す壮大な計画になる。
県水産試験場の担当者は「『超メス』が実現すれば、高級食材であるキャビアの生産コストが大幅に削減され、宮崎産のキャビアが国内外の価格競争に勝ち抜ける環境が整う」と話している。(石川雅彦)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル