メディアスクラム、加害者批判、そしてデマ。池袋暴走事故、遺族の苦しみとジレンマ(BuzzFeed Japan)

31歳の女性と3歳の女の子ら12人が死傷した東京・池袋暴走事故から、4月19日で1年を迎える。遺された夫であり、父親である男性は、事故の直後からメディアの前に立って、再発防止を訴えてきた。そうした訴えが大きく取り上げられている一方、加害者に対する批判も巻き上がり、「上級国民」という言葉も広がった。男性はそうした一連の対応のなかで、苦しみも感じていたという。いったい、どのような思いを抱えていたのか。【BuzzFeed Japan / 籏智広太、伊吹早織】

「本音を言えば、僕は交通事故って、他人事だって思っていたんです。自分たちは事故にあわない。関係ない。テレビの向こう側の話だって。まさか自分がこういう立場になるなんて想像してなかった」

東京・東池袋で、当時87歳の男が運転していた乗用車が暴走し、松永真菜さん(31)と長女の莉子さん(3)が亡くなった事故。遺族の松永さんは、BuzzFeed Newsの取材に当時の心境を、そう語る。

「僕は普通にこの先も3人で生きていって、いつか莉子が育っていって、老後は真菜と死ぬまで生きていくんだろうなって、勝手に漠然と考えていた。当たり前なんて、なかったんですけどね」

松永さんは、事故から5日あとに記者会見を開いた。葬儀のあと、その足で会見場に向かったという。事件事故のあと、これほどのはやさで、顔を出して遺族が会見を開くことはめずらしい。

つい数日前までともにいた、愛するふたりを突如として奪われた現実は、まだ受け入れ切れていなかった。しかし、「同じ思いをする人がでてほしくない」との思いから会見に臨んだ、と語る。

「僕が事故に遭うことを現実的に考えてなかったからこそ、現実的に感じてもらいたいなと思ったんです。そうすれば、起きなくていい事故が防げるかもしれない。誰かの命を救えるかもしれない」

「それは、ふたりの命が無駄にならないってことに繋がるんじゃないかって思ったんです。ふたりの命が僕にとって大事なものであったからこそ、本当にかけがえのないものであったからこそ、どうしても無駄にしたくなかったんです」


【関連記事】


Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment