漫画家の竹宮恵子さん(69)は1970年代に同性愛や児童買春、人種差別を描いた『風と木の詩(うた)』で社会に衝撃を与えました。その竹宮さんが漫画を描く際の「相棒」であるGペンや、残りの人生で挑戦したい作品のイメージを語ります。
ペン先はアース線
『風と木の詩』もGペンで描きました。Gペンはペン先にインクをつけて使う「つけペン」の一種で、軟らかく、強弱をつけるのに、太い線から細い線まで一本で描ける。ベッドシーンはシーツにしても、肢体にしても、みんな曲線。肉体の柔らかさみたいなものを出すには、Gペンは必須だと思っています。尊敬する石ノ森章太郎先生とか、私たちの前の世代の漫画家がみんな使っていたので、私もごく普通に使うようになりました。
「使うなら、このペン先じゃなきゃ」という思いがあります。ペン先を、いわゆる「エネルギーを逃がすところ」みたいに使っているものですから。「快感」っていうのがあるんですね。エネルギーを放出する快感のようなものが。描いていて快感が得られるペン先を使いたいんです。
そういう感覚がないと、描いていることがうれしくない。何十ページもこなす楽しさがないってことになります。「いいペン先がないんだったら、私、描かないです」なんて、乱暴なことも言ったりします。「このペン先だったら、描こうかな」という気持ちになれるツールでもあるんですね。
ある時、アシスタントから「(…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル