モニターから消えた123便 墜落事故を知るJAL社員が託す覚悟

 羽田空港日本航空(JAL)のカウンターはお盆の帰省客でごった返していた。

 夏休みの一人旅だろうか。カウンターの前で、小学校低学年くらいの男の子が心細そうに母親にくっついていた。

 発券を担当していた伊藤由美子さんは「すごいね、一人で飛行機に乗るんだね」と声をかけた。

 男の子は緊張した様子で押し黙ってしまった。代わりに母親が答えた。

 「きょう初めての一人旅なんです」

 「すごいね、いってらっしゃい」

 そう言って、男の子を送り出した。

 午後6時半ごろだっただろうか。さっき発ったばかりの大阪行きの便が羽田に引き返してくるとの連絡があった。「後方のドアの不具合」だという。モニターの到着予定の欄に「123便」と表示されていた。

 「500人以上の乗客を新幹線に振り替えられるかな」。そう思いながら発券作業を続けていると、カウンター越しに男性客が声をかけてきた。

 「いま、NHKで『日航機がレーダーから消えた』ってテロップが流れたんだけど、本当?」

 嫌な予感がした。もう一度、モニターを見た。さっきまであった「123便」の表示が消えていた。

不安に包まれ、体中に震え

 「確認します」と言ってカウ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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