女性たちが安心してオンラインで声を上げられる社会に変えていこう――。そんな願いを込めた社会運動が「国際ガールズデー」の11日、旗揚げした。オンライン上での女性を狙ったバッシングやヘイト表現の深刻化を受け、法整備や被害者の孤立防止と支援を求め、今後署名活動を展開していくという。
運動の名称は「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」。呼びかけ人は、ライターの石川優実さん(34)、市民運動家の菱山南帆子さん(32)、コラムニストの伊是名夏子さん(39)。同日、記者会見を開いた。
職場での女性へのヒールやパンプスの強要反対を訴えてきた石川さんは「これは女性差別だと表明した途端に批判が急増した。『死ね』と言われ続け、死なないと止まらない、という気持ちになった」と語り、声を上げる女性を黙らせるために狙いを定めて攻撃していると指摘。「誰かを自殺に追いやる前に法整備を進めてほしい」と訴えた。
菱山さんは8月にあった小田急線車内での刺傷事件に関連し、女性であることを理由にした殺人を意味する「フェミサイド」を許さないと発言したところ、「よく切れますよ」との言葉を添えた牛刀の写真が送られてきたという。
菱山さんは「こんな仕打ちに耐えられる人だけが声を上げられる社会はおかしい。表現の自由の制限を求めているのではなく、自由に安心して発言できる社会にするための取り組みだ」と訴えた。
車いすユーザーの伊是名さんは今年4月、JRの無人駅で降りたいと申し出たら、乗車拒否されたやりとりをブログでつづると、「醜い生き方」「うそつき」といった誹謗(ひぼう)中傷だけでなく、不正受給をしているといったデマにさらされたという。家族の勤務先や自宅にも嫌がらせがあり、「生活がずたずたになった」と話した。
こうした書き込みを「見なければいい」「気にしない方がいい」という風潮について、伊是名さんは「学校でのいじめの被害者に『学校を休んだら』と提案するのと同じ。問題解決にならない。私がSNSをやめても新たな標的が攻撃を受けることになる」と指摘した。
同席した尾林芳匡弁護士によると、こうした攻撃は、刑法の名誉毀損(きそん)や侮辱、脅迫罪にあたる可能性があるが、数が多く、対処されないまま繰り返されているという。バッシングはツイッターのほか、ヤフーのコメント欄やアマゾンの書籍のレビュー欄などにも及ぶ。
石川さんは「SNS事業者に対処を義務づける法整備が必要。被害者を孤立させないために支援者の育成にも取り組んでほしい。衆院選を前に、各政党に要望していく」と話す。
現在、ホームページでアンケートを実施している(https://onlinesafetyforsisters.com
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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